北海道:羊蹄火山(旧名:後方羊蹄山,マチネシリ)
地形の特徴

羊蹄山,火山地形,成層火山,溶岩流,流れ山,スコリア丘,山体崩壊,岩屑なだれ,日本百名山

地形と地質の三次元イメージ :
三次元地形図上でマウスクリックすると「20万分の1 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。

20万分の1 シームレス地質図 の主な凡例は,ここをクリックしてください。 別ウィンドウで表示します。
  • ~約4万年前頃:古羊蹄火山の活動時期です。大量の溶岩と火山砕屑物が噴出し,円錐型火山の骨格ができ上がったと推定されます。
  • 約4万年前頃 :古羊蹄火山の南西斜面で山体崩壊と岩屑なだれが発生し,山麓に無数の流れ山が発生しました(地質図には記載がありません)。
  • ~約4千年前頃:新羊蹄火山の山頂火口や山頂近傍の側火口からの噴出物で,現在の山容が形成されました。
     山頂近傍の側火口である「北山火口」は,約4千年前にも噴火したとのことですが(上澤ほか2011年),シームレス地質図には記載がありません
     また,完新世になると,山腹や山麓の側火口の活動も始まりました(例,半月湖の爆裂火口や富士見火口)。
  • 注:山体崩壊は 約4万年前と言われていますが,約3.3万年前頃という説もあります。
地形の三次元イメージ : 側火口群
  • 羊蹄火山の南側斜面には,中腹と山麓にそれぞれ1箇所の「側火口」が存在します。 溶岩流の年代から「完新世」の活動です。
  • 中腹の側火口は「南火口」と呼ばれており,側火口の中で最も大量の溶岩を噴出しました。
  • 「650m円頂丘」の噴火は,ほぼ溶岩円頂丘(ドーム)だけですが,「502m円頂丘」の噴火は,ある程度の溶岩の噴出を伴いました。
  • 「半月湖」は,約2500年前頃と言われている,最も新しい火山活動(マグマ水蒸気爆発)で生まれた「爆裂火口(マール)」の中にできた「火口湖」です。
    この火口の中に噴出した小さな「溶岩円頂丘(ドーム)」によって,元々円形だった火口湖が「半月」の形になりました。
  • 諸情報を総合すると,「富士見火山」を構成する3箇所の側火口は,溶岩流をあまり伴わない「スコリア丘」と思われます。
地形の三次元イメージ :流れ山群

【上図: 羊蹄火山の北西側山麓

  • 古羊蹄火山の山体崩壊に伴う流れ山(岩屑なだれ堆積物)は,現羊蹄火山の北西~西~南西の山麓に掛けて存在しています。
  • 標高段彩図(上下)の中に赤い矢印で示した丘は,推定した流れ山です。
    なお,尻別川の河川敷には,尻別川の大蛇行によって形成された還流丘陵が複数存在するので,注意が必要です。
  • 比羅夫駅の東側(図の右側)に示した「」は,『北海道新幹線の「羊蹄トンネル」で,「岩屑なだれ堆積物」をシールド工法で掘削する工事中に巨大な岩塊群が出現して,シールドマシンが前進できなくなった。』と,「生越(2024)」が報告した場所です(位置は,編集者の推定)。
    これにより,それまで推定だった流れ山(岩屑なだれ堆積物)が,実際に確認されたことになります。

【下図 羊蹄火山の南西側山麓

  • 流れ山が最も広範囲に分布している場所は,羊蹄火山の南西側のニセコ町市街地に向かう山麓です。
  • 「吉田(2015)」は,数多くの流れ山を抽出していますが,国土地理院の5mDEMではそれ程多くは判別できません。 標高差のあまりない丘(流れ山)は判別できないからでしょう。
地形の三次元イメージ : ふきだし湧水
  • 「ふきだし湧水」は,羊蹄山の基底をなす洪積層と崖錐堆積物(地質図上は火山麓扇状地堆積物)の境界部からの湧水です(鶴巻,1989年)。
    地元の観光資料によると,一日当たりの湧水量が8万トン,平均水温は6.5゜C前後とのことです。
  • 羊蹄火山の上部には「放射谷」が発達していますが,山麓に降ると多くの谷筋は消失します。 これは,河川水が地下に浸透したことを意味しており,その地下水が「伏流水」となって山を下り,火山麓扇状地の尽きるあたりに湧水となって地表に戻ってくるのでしょう。
羊蹄山(しりべしやま)
  • 深田久弥の登頂ルートに合わせて,倶知安町半月湖畔からのルートをなぞってみました。
  • Kashmir3Dによると,延長は約6.3kmで標高差は約1,550mです。
  • 標高約500mから約1,700mまで,平均斜度約26゜の急登が続くので,一寸大変なルートです。
【現場写真】

(左)山頂には第二の火口があり,この写真ではその半分くらいが写っています。
【記事,引用情報と参考情報】

【記事】

  • 産総研・地質調査総合センターから公開されている「20万分の1シームレス地質図」は,1950年代に公開された5万分の1地質図幅『倶知安』と同『留寿都』がベースとなっているようで,21世紀になって発表された最新の知見は反映されていません。
    シームレス地質図を利用される場合には十分ご注意ください。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】