山梨県・長野県:仙丈ヶ岳とカール地形(藪沢カールなど)
地形の特徴

カール,圏谷,氷河地形,氷食谷,崩壊地形,四万十帯,日本百名山

地形と地質の三次元イメージ :
三次元地形図上でマウスクリックすると「20万分の1 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。 ダブルクリックで元に戻ります。

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  • 「仙丈ヶ岳(3.033m)」は,中生代・後期白亜紀(約1億年前頃)に,大洋の海底で形成された「砂岩泥岩互層」です。 海洋プレート上の地層のため,プレートの水平移動に伴って日本列島まで移動して付加されました(付加体)。 地質学では,「四万十帯」に属する地層として区分されています。
  • 南アルプス(赤石山脈)は,現在でも1年間に数mm隆起していますが,その理由は大陸プレートと大洋プレートとの衝突によるものです。
    南アルプスが常に隆起することによって,河川勾配は常に大きくなり続けるので,河川水による侵食力と運搬力も増大し続けます。
    強度的に弱い部分があったのでしょうか,「馬ノ背尾根」の西側は「崩壊谷」と名付けられているほど,激しい「崩壊地形」となっています。
  • 一方,南アルプス(一部)では,最終氷期(約7万年前~約1万年前)に氷河が存在したことが確認されており,仙丈ヶ岳の周辺でも,「小仙丈カール」と「藪沢カール」という2つの「カール(圏谷)」が化石となって残されています。
    注 大仙丈谷の源頭はカール状になっていますが,『南アルプス学術総論,平成22年』では「大仙丈谷源頭部はカール(圏谷)」との記述はありません。
  • この中で,藪沢カールは規模こそ小さいのですが,カール,モレーンや氷食谷など,氷河地形の特徴が最も残されている,と言われています。
地形の三次元イメージ : 藪沢カール
  • 「藪沢」は,天竜川水系戸台川の源流の一つです。 その源頭は「藪沢カール(圏谷)」となっており,最終氷期に氷河によって形成された地形です。
  • 「神澤ほか,2000」によると,藪沢カールの「カール底」の標高は約2,880m,仙丈小屋の辺りとされています(上図,赤矢印の先端)。
    仙丈ヶ岳の標高は約3,033mなので,標高差は約150mとなります。
  • 同資料を参照して,藪沢の地形断面図を以下のように作成してみました。
  • ① 標高約2,646m地点の「A-B地形断面図(青点群)」によると,谷底付近は明らかに「U字谷」となっていて,氷食地形(谷)であることがわかります。
      なお,谷底の部分は「V字谷」となっていて,氷期以後の流水による侵食谷が形成されつつあるようです。
  • ② 藪沢登山道をしばらく下り,標高約2,456m地点になると,「C-D地形断面(赤点群)」に示す「V字谷」に移行します。
  • 以上から,氷食地形(谷)は今回設定した2本の地形断面線の中間あたりから上流に残っている,と考えています。
地形と地質の三次元イメージ : 大仙丈谷と小仙丈谷カール
  • 仙丈ヶ岳の東側には,大仙丈谷と小仙丈谷という,比較的大規模な谷が存在し,それぞれの源頭部にはカール(圏谷)状の地形が存在します。
  • かつて,『大仙丈谷の源頭はカールである。』との情報が流布されたことがありました。
  • しかし,ジオパーク申請のために作成された「南アルプス学術総論,平成22年」では採用されませんでした。
    これは,「氷食谷」のような谷地形は存在するようですが,カール底やモレーンなど,カールとしての証拠となる地形などが見当たらないためでしょう
    仮に,かつて氷期に氷河が存在したとしても,氷期後に雨水による侵食(水食)で失われたかもしれません。
  • 一方,小仙丈カールには,標高2,820m付近に「カール底」のような階段状地形が存在するので,カールと見なされています。
【現場写真】
仙丈ヶ岳

深田久弥の登山ルートは不明なので,現在利用されている一般ルートを表示しています。
  • 深田久弥は,北沢峠から登山を開始したことは判っているようですが,途中のルートまではわかりません。 本ページでは,「藪沢カール」に繋がる氷食谷を登るルートをトレースしています。
  • 地形図上の標高差は1,074mですが,このルートでは下りが少ないので歩行上の登りは約1,140mで,距離は約4.5kmとなります。
  • 健脚者であれば,5時間もあれば登頂できるでしょう。
【引用情報と参考情報】

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】