深層崩壊について |
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深層崩壊とは | |
深層崩壊とは,表土層と,その下位の風化した岩盤が一緒に崩壊する現象です。 規模が極めて大きい割には,運動速度が速く,短時間で収束します。 表層崩壊と同様に,土石流のトリガーになりますが,もともとの崩壊土砂量が大きいために,土石流の規模も大きくなり,渓流水をせき止めて自然のダム(天然ダム)を形成することもあります。 地震時の瞬間的な引っ張り応力の増大を除くと,深層崩壊に最も影響を与えるのが,大雨かつ長雨の影響です。 深層崩壊は大雨が短時間で降るよりも,むしろ雨が長く続いて降る方が,すなわち連続雨量が多い方が発生しやすい,と言えます(表層崩壊は,多量の時間雨量の方が,崩壊への影響が大きいようです)。 |
様々な脆弱性(リスク)を持つ地盤の特徴(一部重複掲載) | ||||||||||||||||||||||||
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深層崩壊の例 平成23年(2011年)紀伊半島大水害(台風12号)で発生した「赤谷せき止め湖(奈良県五條市)」 |
(左)出典:国土地理院・空中写真 (右)国土地理院・地理院タイルに崩壊域を記入 深層崩壊した斜面は,四万十帯(付加体)の北向き(北西)斜面で,斜面上方には緩傾斜の部分があります。 |
ここに紹介した「赤谷深層崩壊」を上表に当てはめてみると,微地形の項目の傾斜状況,谷型の斜面,集水面積,上方が緩傾斜(兆候)と流れ盤構造がまさに該当しています。 注 付加体は太平洋の海底で堆積した泥や砂が固化してできた堆積岩です。 2013年に奈良県が公表した「深層崩壊のメカニズム解明に関する現状報告」では,「平成23年(2011年)紀伊半島大水害」で発生した深層崩壊の特徴を,以下のように発表しています。 以下,数字を抜粋しました。 ・発生箇所数: 54箇所 同報告書には,奈良県全域の特徴として,累積雨量600mm以上で深層崩壊が発生した,とあります。 |
深層崩壊の兆候とみなす微地形要素について | |
①: 主稜線 ②: 山頂緩斜面 ③: 二重山稜 ④: 多重山稜 ⑤: 線状凹地 ⑥: 小崖地形 ⑦: 円弧状クラック ⑧: 岩盤クリープ斜面,あるいは地すべり地形 ⑨: 遷急線(傾斜が変化するところ) 「鈴木 隆介,『建設技術者のための地形図読図入門 第3巻 段丘・ 丘陵・山地』,古今書院,平成12年5月」を参考に作成しました。 |
「⑦: 円弧状クラック」の見本です。 この長さは3m程度ですが,深層崩壊の円弧状クラックでは, 長さはこの数十倍にもなります。 このような形状をしたクラックが,急傾斜地(斜面)の上部に発生している場合,深層崩壊の兆候を示している微地形がある,と考えます。 |
深層崩壊に関する主な参考文献・資料・ウェブサイト |
・奈良県 県土マネジメント部: 平成23年 紀伊半島大水害「深層崩壊のメカニズム解明に関する現状報告」,2013年6月 ・千木良 雅弘,他: 深層崩壊の実態、予測、対応,京都大学 防災研究所,特定研究集会23C-03,2012年2月 ・地頭薗 隆: 鹿児島県で発生した土砂災害と崩壊発生予測の研究,(公財)鹿児島県建設技術センター, 平成23年度道路防災に関する技術講習会,2011年8月 ・(公財)砂防学会: 深層崩壊に関する基本事項に係わる検討委員会 報告・提言,同学会,2012年3月 |
2021年7月7日編集: |