岩鞍の割れ方が強烈な 類型:神仏
  金比羅山の天狗岩(こんぴらさんのてんぐいわ) 東京都あきる野市
奇岩の写真

金比羅山の天狗岩

天狗岩の大亀裂。 出典:日々平穏
天狗岩の裏側。 出典:日々平穏
いわれ,特徴,エピソード等

 旧五日市町の北東には,標高467mの金比羅山が聳えています。
 山頂から尾根伝いに300mほど南東に下った所には琴平神社が祀られており,その後方に奇岩「天狗岩」が鎮座しています。

 いわゆる磐座(いわくら)と呼ばれるに相応しい巨石で,後述する秩父帯を構成する「チャート」の大きな露頭です。

 五日市盆地全体を見下ろす場所にあることから,古くは自然崇拝,山岳信仰の対象として,崇拝を集めていたと考えられます。

 写真にもあるように,前面にはしめ縄が張られ,小さな祠が設置されています。
 まるで,沖縄の御嶽(うたき)のような雰囲気です。

地形・地質の概要

 産総研・地質調査総合センター発行の「1/20万シームレス地質図」を参照すると,「天狗岩」の立地場所の地質は,中生代ジュラ紀(約1.7億年前頃)の「混在岩(岩石名)」です。
 主に「付加体」で構成される「秩父帯」に属しています。

 「混在岩」は,「海底地すべり」によって混合された様々な種類の岩石が入り混じった岩石(全体)のことですが,地層としては,「メランジュ」と表現する場合もあります(個々の岩石が複雑に混合されているので,地層全体を一つの岩石名として表現できないのです)。
 基本的には,「泥岩」が主体ですが,「チャート」,「石灰岩」,「砂岩」や「玄武岩」など,地すべりが起きる前の岩石が,大小のブロックとして地層の中に含まれています。

 この奇岩は,混在岩の中に存在する比較的大きな「チャート」のブロックと考えられます。

奇岩近傍の三次元地形イメージ

 「天狗岩」のある「金毘羅山」は,標高が468mしかありませんが,その主尾根はかなりのやせ尾根のようです。
 天狗岩はチャートのブロックと言うように,主尾根には侵食に強いブロックが比較的多いのかもしれません(想像)。
周辺のジオサイトや観光地

☆奇 岩
 本奇岩周辺では,以下の3奇岩も「日本の奇岩プラス」に登録されています。
  「No.110(石船)」
  「No.111(山抱きの大樫)」
  「No.112(秋川渓谷のサンドイッチ岩)」

☆観光地
 秋川渓谷:多摩川の支流である秋川のうち,檜原村とあきる野市の部分約20kmは「秋川渓谷」と呼ばれています。 紅葉や雪景色に代表される四季の散策,ハイキングとキャンプや6月からの鮎釣りなどを楽しむことができます。

交通概況

☆鉄道
 JR五日市線「武蔵五日市駅」で下車します。
 登山道については「日々平穏」を参照してください。

☆自動車
 首都圏中央連絡自動車道(圏央道)「あきる野IC」から,都道7号を経由して武蔵五日市駅まで進みます。
 以後は,鉄道に同じです。
 注 金比羅山のすぐ近くまで林道が通っていますが,一般車両の通行は禁止されているようです。
 通行を希望する場合には,ご自身でお調べください。

引用情報,参考情報,お断り

【引用情報】
 国土地理院 >
   地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)
   国土地理院利用規約

【参考情報】
 産総研・地質調査総合センター >
   1/20万シームレス地質図

【お断り】
 奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。
 地形図については,地図検索のページをご覧ください。