陸に上がった船,という 類型:人工物
  石舟(いしぶね) 東京都あきる野市
奇岩の写真

石船の近景

石船の全景

石船と石船橋
いわれ,特徴,エピソード等

 多摩川の支流である「秋川」は,あきる野市に入ってもしばらくは穏やかな流れが続きますが,養沢川との合流点近くになると,河床に岩盤が露出しているためか,川幅が狭まると共に荒々しい滝状の瀬を形成します。

 その瀬に舟の「舳先(ミヨシ)」を思わせる形をした複数の岩があり,地元では古くから石舟と呼んでいます。

 現在は,石船の上流に長さ96mのつり橋(石舟橋)が掛けられているので,橋をわたりながら石船などの秋川渓谷を鑑賞することができます。

地形・地質の概要

 産総研・地質調査総合センター発行の1/20万シームレス地質図を参照すると,「石船」を挟んだ南北に,ほぼ東西方向の断層が2本存在します。

 石船の北側の断層の場合,この断層を挟んだ南北はいずれも,中生代ジュラ紀(約2億年前~約1億4600万年前)の「秩父古生層」と呼ばれている「砂岩」,「泥岩」あるいはそれらの「互層」です。
 地図を拡大すると,石船からこの断層に沿って西北西方向に延びる,急峻な馬の背状の尾根が現れます。 石船の所で秋川の流路がUターンしていることも併せると,石船や尾根はこの断層の影響を強く受けていると考えられます。

 一方,石舟のすぐ南にある断層線は,「仏像構造線」という大断層です。
 断層の南側では,より時代的に新しい中生代後期白亜紀(8000万年前頃)に形成された「四万十帯(後期白亜紀付加体)」に属する「砂岩層」が分布しています。

奇岩近傍の三次元地形イメージ

 奇岩「石舟」のある河原は,「河成段丘」の未発達な山間部を流れて来た秋川が,比較的面積の広い「河成段丘」を形成する一歩手前の「穿入蛇行」の頂点に当たります。
 この付近の秋川は,支流の「養沢川」や「盆堀川」を含めて,随所に穿入蛇行を行っています。
 断層などの地質構造や,混在岩など複雑な岩石構成などの影響がでているかもしれません(想像)。
周辺のジオサイトや観光地

☆奇 岩
 本奇岩周辺では,以下の3奇岩が「日本の奇岩百景プラス」に登録されています。
  No.111(山抱きの大樫
  No.112(サンドイッチ岩
  No.113(金比羅山の天狗岩

☆観光地
 秋川渓谷:多摩川の支流である秋川のうち,檜原村とあきる野市の部分約20kmは「秋川渓谷」と呼ばれています。 紅葉や雪景色に代表される四季の散策,ハイキングとキャンプや6月からの鮎釣りなどを楽しむことができます。

交通概況

☆鉄道
 JR五日市線「武蔵五日市駅」で下車。 西東京バスの払沢の滝入口行き,小岩行き,藤倉行き,数馬行きあるいは上養沢行きに乗車して約15分の「十里木」バス停で下車します。
 檜原街道を檜原に向かって徒歩5~6分で石船橋に着きます。

☆自動車
 首都圏中央連絡自動車道(圏央道)「あきる野IC」から,都道7号を経由して都道31号・同33号(檜原街道)に入り,「十里木交差点」まで進みます。
 圏央道「日の出IC」の場合は,都道165号を五日市方面に進みます。 都道7号に合流後は,以後同様です。

引用情報,参考情報,お断り

【引用情報】
 国土地理院 >
   地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)
   国土地理院利用規約

【参考情報】
 産総研・地質調査総合センター >
   1/20万シームレス地質図

【お断り】
 奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。
 地形図については,地図検索のページをご覧ください。