天狗に会って汗をかいた後は・・・ 類型:伝説
  竹山(たけやま) 鹿児島県指宿市山川
謂われ,特徴,エピソード等

 垂直に突き出した岩肌が特徴的な「竹山」は,古来から修験道の修行の場であったと考えられ,幕末に薩摩藩が編纂した「三国名勝図会」には,以下のような記述があります。

 『文化8年,11月2日夜,官船神明丸という船を鳶之口峯(竹山の海側)の下あたりに繋いでいたところ,竹山の上に星のように火が点り,その船に飛来し,たちまち帆柱の上に提灯が現れ,山伏のような者が見えたので,舟人はとても恐れて,船中に隠れたが,ことごとくけり倒され気を失った。 翌朝見たとこ ろ,帆柱はねじ切られていた。 そのような事は昔から今に絶えず,当山(竹山)に霊験があることは,近隣から遠方まで知らない者はない。』

 この話は,江戸時代の竹山神祠の祭神は「烏帽子岳大権現大天狗」であったところより生まれた,天狗伝説と考えられています。

 また,竹山自体は霊山として信仰の対象ともなっており,第二次大戦中においては,竹山の頂上に位置する竹山神社が武運の神として知られたところから,出征兵士の参拝が相次いだそうです。

 地元の古老によると,竹山の急な山道を登り頂上に達した時,「ああ疲れた」と言うと,天狗に尻を蹴られるから気をつけろ,という話が伝わっているそうです。

地形・地質の概要

 第四紀更新世(約6万年前頃)の火山活動に伴い,山体に貫入した溶岩が冷えて固まった「安山岩」の「貫入岩体」です。
 その当時周辺に分布していた山体そのものは侵食により失われ,貫入した竹山(溶岩)の部分だけが残されています。

 巨大な岩が天を突くような形を呈していますが,地元ではスヌーピーに似ているという説もあります。

 岩肌にはソテツがへばりつくように自生し,国の天然記念物に指定されています。


竹山の近景。 

竹山の遠景。 一番左の小山の先は東シナ海です。
奇岩近傍の三次元地形イメージ

後期更新世に貫入してきた「竹山溶岩」とは異なって,周囲の台地は「池田火砕流堆積物」と言って,第四紀完新世に「池田湖」が生成した際の大規模火砕流です。
竹山の左側に,幅広で比較的浅い谷地形が存在します。 洪積世時代の大きな河川が,池田湖火砕流で埋没したものかもしれません。
3.周辺のジオサイトや観光地

ジオサイト
 ★山川地熱発電所:竹山の北西約1kmにある九州電力が運営する地熱発電所です。 平成7年に運転が開始され,出力は3万kWとなっています。
 ★池田湖:九州で一番大きな湖です。 直径約3.5km,ほぼ円形のカルデラ湖で,最大水深は約233mです。
    特徴的なのは湖底に高さが約150mの湖底火山があることです。
 ★開聞岳:別名薩摩富士。 富士山と同じ成層火山で,山麓の北東半分が陸地に,南西半分が海に面しています。

☆観光地
  ★山川砂むし温泉:「伏目温泉」の地熱を利用した「砂むし場」で, 東シナ海の波打ち際にあります。
  近くには露天風呂で有名な「ヘルシーランドたまて箱温泉」や「ヘルシーランド保養館」など,豊富な地熱や温泉を利用した施設が整っています。

交通概要(公開時の情報)
  • 鉄 道: JR九州,指宿枕崎線の「山川(やまがわ)駅」で下車。 鹿児島交通バス「長崎鼻・開聞駅・池田湖行き」に乗車。
        約12分乗車した「ヘルシーランド入口」で下車してください。 徒歩約2分で竹山のビューポイントに到着します。
  • 自動車: 「九州自動車道」の鹿児島ジャンクションで「指宿有料道路」に入り終点の「頴娃」で一般道に下ります。    
        県道17号で池田湖に向かい,湖畔で県道28号に進みます。 開門岳の麓で国道226を左(東)に曲がり,「長崎鼻交差点」で県道242号に入ります。
        JR指宿枕崎線の跨線橋を越えてすぐに左(東)に曲がって,「ヘルシーランド」を目指してください。
引用情報,お断りなど

【引用情報】
 ・国土地理院 > 地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)  国土地理院利用規約

【お断り】
 ・奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。地形図については,地図検索のページをご覧ください。

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