島原半島には二つの鬼石が 類型:伝説
  空仙鬼(くうせんき)と難林王(なんりんおう) 長崎県雲仙市
1.謂われ、特徴、エピソード等
 長崎県雲仙市の小浜町山領(やまりょう)と小浜町雲仙には、2つの「鬼石」があります。
 雲仙の歴史を記した温泉山縁起には、「比の山の難林王は四面の大鬼なり、行基菩薩に逢い奉り種々の問答あり、又悪鬼あり、男鬼の名は空仙鬼、女鬼の名は難林王なり、比の鬼々を加持すれば即ち鬼石となる」と記載されています。 地元の言い伝えでは、山領の鬼石が空仙鬼、雲仙の鬼石が難林王とされています。
山領の鬼石(伝・空仙鬼): 写真の由緒書きによると、大きさが長さ12m、幅11m、高さ6mもあり、島原半島随一の巨石で、鬼が罰を受けてこの石を持たされて雲仙岳に登っていたがあまりの重たさにここに捨てたものだとか、この石の周りを3回まわると鬼が出る、とされています。
雲仙の鬼石(伝・難林王): 雲仙温泉の「旧八万地獄」の遊歩道近くにあります。 旧八万地獄では、岩の割れ目から60゜C位の温泉が湧出していますが、その威力は年々衰えており、東の「清七地獄」や「お糸地獄」などと命名された地帯が現在の地獄となっています。
2.地形・地質の概要
 島原半島のほぼ中央部分、雲仙市小浜町雲仙温泉のあたりは、中期更新世(約70万年前~15万年前)に噴火した火山の岩石(安山岩・玄武岩類)で構成されています。 2つの鬼石は、この時代の雲仙火山の溶岩類です。
 その後、火山活動は東に移動し、妙見岳,普賢岳や平成新山などが形成されました。
 空仙鬼の方は大きな転石だろう、とも言われていますが、沢山の水平亀裂があることからこの場所で冷えて固まったようにも思われます。 なお、空仙鬼は1663年(寛文3年)の豪雨による洪水で、この岩が地表に現れた、との言い伝えが残っています。
3.周辺のジオサイトや観光地
島原半島ジオパーク(旧 雲仙ジオパーク)
 この奇岩は、島原半島ジオパークのジオサイト5つのテーマ「島原半島のなりたち」に分類されています。
 以前は、雲仙普賢岳を中心とするジオパークでしたが、現在は島原半島全体がエリアとなり、世界ジオパークにも認定されています。
☆ジオサイト
 『日本の奇岩百景』登録奇岩「両子岩(ふたごいわ)
☆観光地
 ★原城跡(南島原市南有馬町): 天草四郎時貞を盟主とする「島原の乱」で、1637年12月から約3ヶ月、領民約3万7千人人(諸説ある)が籠城したことで知られています。
 ★九州オルレ「南島原コース」: 南島原市の最南端の早崎半島や口之津港をめぐる距離約10.5kmのトレッキングコースです。
 ★小浜温泉: 小浜温泉には、温泉として利用されていない温泉熱を利用した「バイナリー発電所」があります。
4.交通
★山領の鬼石(伝・空仙鬼):
 ☆公共交通
   
鉄道:JR九州 長崎本線諫早駅で、島鉄バス「大屋~口之津~小浜・小浜高~諫早線」あるいは「島原~雲仙~小浜~愛野~諫早」に乗車し、、約1時間弱の「山領口(やまりょうぐち)」で下車してください。 徒歩で県立小浜高等学校北側の小道を進みますが、奇岩周辺には休憩所などはありません。 バスは1時間に2~3本運行されています。
 ☆自動車
 長崎自動車道を「諫早IC」で降り、国道34号経由57号で小浜町北野で旧道に入り、尾根の手前で左に曲がった先の町道脇にあります。
★雲仙の鬼石(伝・難林王):
 ☆公共交通
 
鉄道:JR九州 長崎本線諫早駅で、島鉄バス「島原~雲仙~小浜~愛野~諫早」に乗車し、約1時間半弱の「雲仙」で下車してください。 バスは1時間に1本程度運行されています。 島原鉄道島原駅からは、逆方向のバスに乗車することもできます(乗車時間は1時間弱ですが、運行本数が若干減ります)。
 ☆自動車
 長崎自動車道を「諫早IC」で降り、国道34号を経由して57号を雲仙温泉まで走行してください。 千々石郵便局の近くから県道128号を経由するルートもありますが、センターラインのない狭い場所や、数箇所以上のヘアピンカーブがあります。
5. 奇岩の地図

山領の鬼石(伝・空仙鬼)の近景。 

山領の鬼石(伝・空仙鬼)。 右後は小浜高等学校です。

山領の鬼石(伝・空仙鬼)の由緒書。

雲仙の鬼石(伝・難林王)の近景。

雲仙の鬼石(伝・難林王)の遠景。 旧八万地獄にて。
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