巨大な国旗掲揚台の 類型:自然
  重盤岩(ちょうはんがん) 熊本県津奈木町
1.謂われ、特徴、エピソード等
 津奈木町のシンボルとして町の中央にそびえ立つ「重盤岩」は、頂上から町を一望でき、その先には不知火海(八代海)が見渡せ、その景色は圧巻です。 高さ80mもある巨大な岩山の頂には、現在の天皇陛下(平成天皇)の誕生を祝して立てられた国旗が、山を渡る風にたなびいています。 また、4月~5月にはこどもの日に合わせて鯉のぼりも掲げられます。
 頂上までは遊歩道が整備され、重盤岩のすぐ近くに整備された展望広場ではつなぎ美術館からモノレールで行くことができます。
 重盤岩の国旗掲揚台は岩頭にあって、現在の国旗掲揚台が設置される前の掲揚台のコンクリート柱の東側には、「皇太子殿下御降誕記念」、南側には「昭和9年3月27日建之」と彫ってありました。 皇太子明仁親王(現天皇陛下)の御誕生は、昭和8年12月23日であるから、台柱は春が来るのを待って立てられたと思われます。 その掲揚台は、当時の津奈木小学校の先生が主となって児童一人ひとりに材料を持たせ、重盤岩に運ばせて建設されたとのことです。
 戦前戦後は国旗が揚がらぬこともありましたが、昭和30年以降は一日として掲げられなかったことはなく、その故に町民だけではなく、車窓から仰ぐ旅行者にも愛されています。
 重盤岩と呼ばれるようになったのは1974年以来と比較的新しく、江戸時代には「長半岩」と呼ばれていたという説明が、熊本県のページ に紹介されています。
2.地形・地質の概要
 重盤岩は地中の断層あるいは割れ目に沿ってマグマが上昇した結果、形成された岩脈の可能性が高いと考えられており、全体としては火山レキ岩で構成されています。
 重盤岩は北西-南東にのびる方向性があり、また、頂上の尾根で同じ方向性の流理構造(溶岩の流れで生じる結晶の配列模様)が見られます。 この方向性は、本地域に分布する海岸線とほぼおなじであって、付近に想定されている北西-南東方向の断層・割れ目の方向性とも一致しています。
 レキが比較的大きく角張っていることや流離構造などから、マグマの噴出源がこの近くに存在すると考えられています。
3.周辺のジオサイトや観光地
☆観光地
 ★舞鶴城公園 : 奇岩「重盤岩」を含む津奈木城が別名「舞鶴城」と呼ばれていたことから舞鶴城公園という名前がつけられました。 公園には展望広場や遊歩道が整備され、秋の紅葉を楽しむことができます。 また、展望広場とつなぎ美術館を結ぶモノレールが片道5分で運行しています。
 ★つなぎ美術館 : 住民参画型アートプロジェクトの企画運営や熊本にゆかりのある作家の作品展示、アーティストによる地域交流型滞在制作と個展などを定期的に開催しています。 2階には喫茶室とモノレール発着所があります。
 ★つなぎ温泉 四季彩 : 全国でも珍しいモノレールで行く露天風呂が自慢です。 湯船からは津奈木の町並みや不知火海を一望でき、格別な時間を過ごせます。 岩盤をくり抜いた「どうくつトンネル」を通って、自然石を敷き詰めた大浴場や、岩肌を流れる露天風呂やサウナ、気泡浴なども楽しめます。
 ★つなぎ物産ギャラリー グリーンゲイト : 津奈木町特産のスイートスプリングをはじめ、デコポン、甘夏みかんなどの旬の柑橘類や不知火海で獲れた新鮮な魚介類の加工品、天然醸造としては、日本最南端の蔵で造られる亀萬酒造の地酒など地元の名産品が人気です。
4.交通
☆公共交通
 
鉄道:九州新幹線の新水俣駅あるいは八代駅で「肥薩おれんじ鉄道(旧鹿児島本線)」に乗り換えて「津奈木駅」で下車してください。 徒歩約10分でつなぎ美術館に到着します。
☆自動車
 南九州西回り自動車道を「津奈木ICで降り、国道3号線を水俣・鹿児島方面へ向かうと3
分程で車窓右側上部に重盤岩が見えてきます。 ここにつなぎ美術館があります。

重盤岩の近景

重盤岩の遠景と舞鶴城公園のモノレール

重盤岩からの眺望(10月)。 左下は肥薩おれんじ鉄道の線路。

秋の重盤岩(11月)
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