大国主命の恋人 類型:神仏
  奴奈川姫の産所(ぬなかわひめのうぶしょ) 新潟県糸魚川市
奇岩の写真

糸魚川市島道付近の近景

産所の遠景
いわれ,特徴,エピソード等

 大国主命の恋物語の相手として古事記に登場する奴奈川姫は,この奇岩の場所で誕生したとされています。

 奴奈川姫は,古代の糸魚川地方を治めてヒスイ製玉類の生産を支配したとされており,出雲の大国主命がわざわざ越の奴奈川姫のもとを訪れた目的はヒスイだったのではないかと想像されています。
 実際,出雲大社の境内にある遺跡からは,ヒスイ製の勾玉が出土し,古代糸魚川との交流が示唆されています。発掘された勾玉は出雲大社の宝物殿に展示されています。

 奇岩の中央には,大人が数名入ることができる岩窟があって陰石とされ,奇岩の上部には石柱があって陽石とされています。
 もともとこの地に奴奈川姫の産所があるという言い伝えが残っており,それを頼りに探索したところ発見されたものです。

 大国主命が通ったとされる神道山のふもとにこの産所があり,ここでお参りをすると子宝に恵まれるとされています。 

地形・地質の概要

 安山岩質凝灰角礫岩,同質火山角礫岩(100万年前の海底火山噴出物)から構成されます。

 フォッサマグナの海が陸化する直前の海底に噴出したこれらの火山岩類は,現在は急峻な山々を形作っています。

 産所の奇岩は,火山岩類からなる神道山から崩落してきたものです。

奇岩近傍の三次元地形イメージ

 糸魚川市~上越市にかけての「フォッサマグナ」地帯は,「地すべり多発」地域で,この「奴奈川姫の産所」の周辺も,地すべりや斜面崩壊の跡が密集しています。
 産所と見なされている巨岩は,背後の山から崩落してきたものとされていますが,地形の三次元イメージを見ると納得してしまいます。
周辺のジオサイトや観光地

糸魚川ユネスコ世界ジオパーク
 この奇岩は,糸魚川ジオパークを構成する「22.神道山 - 文化と大地の境目に関係するジオサイト」に含まれるジオポイントの一つです。
 糸魚川ジオパークのエリア内には,この他に「とっとこ岩」,「青海川のヒスイ」,「越後八十八ヶ所」と「鳴り岩」が奇岩に選定されています。
 近隣のジオサイトには,「神道山・石段」,「ブナ林」,「鉾ヶ岳」などがあります。

☆観光地
 神道山公園,弁天岩,グリーンメッセ・湯の脇温泉など。

☆観光コースの例
 産所 → 白山神社・弁天岩

交通概況

☆鉄道
 北陸新幹線線「糸魚川駅」下車。タクシーを利用してください。
 または,「能生駅下車」。 能生川と島道川沿いに歩くと約4kmあります。

☆自動車
 北陸自動車道を「能生IC」を経由し,県道246号を「大沢」まで走行し,島道川に沿う県道377号を「島道」まで走行してください。

引用情報,お断り

【引用情報】
 国土地理院 >
   地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)
   国土地理院利用規約

【お断り】
 奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。
 地形図については,地図検索のページをご覧ください。