にわとりのシルエット 類型:動物
  とっとこ岩(とっとこいわ) 新潟県糸魚川市
奇岩の写真

とっとこ岩の近景

糸魚川市能生小泊付近 国道8号沿いから
いわれ,特徴,エピソード等

 「とっとこ」とは,にわとりを指す糸魚川地方の方言です。

 国道8号脇の海中にある,にわとりの形に似た巨岩であり,糸魚川ジオパークの遊歩道(弁天岩ジオサイト)からも眺望できます。
 岩の形を,にわとりの幼鳥(ひよこ)に見立てる人,あるいは成鳥がうつむいている姿に見立てる人がいます。
 夕日を背にしたとっとこ岩は,地域の象徴的景色であり,地域住民に親しまれています。
 天気の良い5月下旬~7月上旬の午後7時ころには,能登半島に沈む赤い夕陽がとっとこ岩の黒いシルエットを際立たせます。

 とっとこ岩は,海運や豊漁などを祈る信仰の対象になっていて,岩の上には祠があります。
 大蛸が佐渡からいたずらをしたとっとこを運んでやってきたという伝承があり,実際,とっとこ岩の周囲には蛸がたくさん生息しています。

 古くから北前船の寄港地として栄えたこの地には,大阪,瀬戸内海,能登,佐渡との交流を物語る生物,文化財,伝承などが数多く残っています。

地形・地質の概要

 約100万年前(新生代第四紀更新世)の海底火山による噴出物である,「安山岩質凝灰角礫岩」及び「同質火山角礫岩」から構成されています。

 これらの火山岩類は,フォッサマグナの海が陸化する直前の海底に噴出したものとされています。

 海底に露出した火山岩類が漁礁となったことで,この地で海の文化が育まれ,今の漁村の風景へと受け継がれています。

奇岩近傍の三次元地形イメージ

 「とっとこ岩」の火成岩(凝灰角礫岩など)は,能生小泊集落の南東にある標高184mの丘から流出したものとされています。
 周囲は全て,新生代新第三紀中新世~鮮新世(約600万年前頃)の海成層(砂岩泥岩互層)なので,突然湧き上がってきた火山と言うことになります。
周辺のジオサイトや観光地

糸魚川ユネスコ世界ジオパーク
 この奇岩は,糸魚川ジオパークを構成する「21.弁天岩 - 文化と大地の境目に関係するジオサイト」に含まれるジオポイントの一つです。
 糸魚川ジオパークのエリア内には,この他に「青海川のヒスイ」,「越後八十八ヶ所」,「奴奈川姫の産所」と「鳴り岩」が奇岩に選定されています。
 近隣のジオサイトは,「弁天岩」,「白山神社」,「小泊地すべり後」などがあります。

☆観光地
 マリンドリーム能生(道の駅),トンネルのレンガ,能生漁港など。

☆観光コースの例
 マリンドリーム能生 → とっとこ岩 → (久比岐自転車歩行者道) →白山神社 → 弁天岩 → マリンドリーム能生

交通概況

☆鉄道
 北陸新幹線「糸魚川駅」下車。タクシーで約25分かかります。
 または,同線「能生駅」下車。徒歩で,途中,白山神社などを経由して約2kmです。

☆自動車
 北陸自動車道「能生IC」より,道の駅(マリンドリーム能生)まで3kmほどです。

記事,引用情報,お断り

【記事】
 同時期に噴火した火山としては,南西方向に10kmほどの所にある「犂(からすき)火山」があります。

【引用情報】
 国土地理院 >
   地理院タイル(地形図,5m・10mDEM)
   国土地理院利用規約

【お断り】
 奇岩の地図は「奇岩近傍の三次元地形イメージ」に変更しました。
 地形図については,地図検索のページをご覧ください。