福島県:会津磐梯山の山体崩壊と流れ山
 (日本の地質百選:磐梯山)
地形・地質の特徴

山体崩壊,流れ山,岩屑なだれ堆積物,火山地形

地形の三次元イメージ : 磐梯山全景
‼マウスオーバー‼  地図上にマウスを乗せてください。産総研・地質調査総合センターの「1/20万 シームレス地質図(出典,下記)」を表示します。

頂上直下で発生した「山体崩壊」の規模の大きさに驚かされます。
崩壊によって発生した土砂は「移動体」となって斜面を滑り落ち,短時間で山麓まで達したでしょう。
山麓や平地ではこれらが積み重なって「流れ山」ができました。 一方,谷は埋められて無数の「堰止湖」が作られました。
「檜原湖」,「曽原湖」,「小野川湖」や「秋元湖」に加え,「五色沼」など比較的小さな池や沼ができたのです。
地形の三次元イメージ : 山体崩壊と岩屑なだれ(北面)

山頂近くの「山体崩壊」の跡とは異なる崩壊の跡が,中腹に残っています。
下記の資料には,山体崩壊の後で「地すべり状滑落崖」が発生した,という図と説明が掲載されています。
地形の三次元イメージ : 山体崩壊と岩屑なだれ(南面)

南面の「流れ山」は, 北面と違って,後期更新世の「岩屑なだれ」によってできたものです。
形成時から相当程度時間が経過しているので,ある程度侵食が進んでいるようです。
【現場写真】 磐梯山の山中

弘法清水小屋付近からの裏磐梯です。 日影になっている場所にある沼は「銅(あか)沼」で,その向こうは「檜原湖」です。

登山道の眼下には,「櫛ヶ峰」直下の山体崩壊地が広がっています。

弘法清水小屋付近からは,「沼ノ平」の旧爆裂火口を見下ろせます。

爆裂火口底の「沼ノ平」から,磐梯山の山頂を仰ぎ見た所です。 沼ノ平には大きな池の痕跡があります。
しかし,写真のように沖積錐が発生しているため,徐々に泥などの堆積が進み,近い将来全て干上がってしまうでしょう。
記事,引用情報と参考情報

【記事】

  • 1888年(明治21年)7月15日,噴火に伴う水蒸気爆発により小磐梯が山体崩壊を起こしました。
  • 発生した岩屑なだれによって,長瀬川とその支流がせき止められ,桧原湖,小野川湖,秋元湖,五色沼をはじめ,大小さまざまな湖沼が形成されました。
  • 関連して発生した土石流などにより,北麓の5ヶ村11集落が埋没するなどの大きな被害が発生し,477人が亡くなりました。

【引用情報】

【参考情報】

【お断り】

  • 本ページでは,「地質情報ポータルサイト」で公開されていた「日本の地質百選」,「日本の地質案内」と「日本の地形千景」の各ページを統合しました。